軽量化プロジェクト
その弐 苦闘編
指令その8 安全性を犠牲にせよ!!
いろいろ考えてはいるのですが、最近は軽量化もネタ切れで、エンジンヘッドカバー以来しばらく軽くなってません。サーキット専用車なら、エアコン、ウインドーモーター、ステレオ、フロアカーペット、メルシート等を外す定番ワザがありますが、さすがにそこまでやる根性ありません。だいたいこんなものを外した日には、元に戻すまで嫁さんが家に入れてくれないでしょう。で、しばらくぶりに思いついたのが、ドアパネル内に入っている「サイドインパクトビーム」という、側面衝突から乗員を保護する金属棒(若しくは板)。これなら外したところで嫁さんには気付かれないし、1個当たり数キロはあるでしょうから、ドア4枚分で20kg前後軽量化できるかもしれません。ただし、当然ながら側突に対する安全性は低下します。妻子を危険にさらすことになるとはいえ、軽量化のためなら魂だって売る覚悟の私ですから(←おいおい)、深く考えないことにしてドアの内張を外しにかかりました。
内張を留めているボルトを数本外し、外周のロックピンをバチン、バチンと外していきます。スピーカーの辺りにくると少し固くなったので、力を入れて引っ張りました、するとバチン、バリン! と明らかに物が壊れる音がしました。おそるおそるスピーカーのネットを外すと、やっぱり…。スピーカーをドアパネルに固定している樹脂部品が1個砕け散ってました。うーん、またやってしまった。ウチに納車されたばっかりに、なんて不憫な156なんだろう。それにしても、スピーカーをわざわざ内張とドア本体との両方に固定しなくたっていいものを…。
さて内張を外してみると、ドアパネルの開口部が乳白色のビニールシートできっちりシールされています。これは外から風や雨水が入って来ないためのものなのですが、私がこれまで見たクルマの中で一番しっかりしてます。国産大衆車だともっとしわがよってたり、あちこちすき間があったりするのですが、156のは外周を強力な両面テープがきっちり一周しており、正に蟻の入るすき間もないほど。バッテリー移設の際も作業していて感じたのですが、このクルマ車室の密閉性と遮蔽に関しては実に丁寧に設計、設備されてます。(例のインシュレーターもどきだけは別ね)助手席フロアには部分的に3枚もの断熱、防音材が使われており、中でも1番厚いのは2センチ以上ありました。下を通るマフラーからの熱が車室内に伝わらないためのものですね。まあ、この辺の対策、悪いよりはいい方が良いのは当然ですが、走ってなんぼのクルマなんですから、そんなことにコストと手間を掛けるんだったら、リアのパラレルリンク(ブリキのおもちゃ的作り)とかワイパーブレード、例のブレーキ等にもっと力を入れてほしかったなあ、と私は思ってしまいました。
ちょっと話がそれましたが、とにかくこのシートが実に強力な両面テープでしっかり接着されているため、一旦剥がしたら伸びてしまって再使用は困難。そこでスピーカーを外してその部分の穴から手を入れ、手探りでビームの取り付け位置を確認してみることにしました。 さて、問題はビームがボルト留めになっているか否かです。パネルに溶接されていたら、さすがの私もサンダーで切断する勇気はありません。絶対元に戻せなくなりますし。探ってみると、156のビームは棒タイプで、ドアパネル中央付近に1本水平に通ってます。固定方法は……、やっぱり溶接されてました。残念。でもよく考えてみれば、わざわざ内張外さなくても外からボルトの頭を探せば、ボルト留めかどうかわかったですね。またしても無駄な作業した上、「いじくり壊し」やってしまいました。ごめんよ、156…。
成果 スピーカー固定樹脂部品(鉄板ビス込み)−3gくらい(計算外)
累計軽量化 −37,07kg
現在車体重量 1262,93kg
指令その9 再び安全性を犠牲にせよ!!
クルマによっては、バンパーの中に補強鋼材や衝撃吸収材が入っていることがあります。そこで分厚い鋼板が入っていることを期待してリアバンパーを外してみたのですが、結果はご覧のとおり。左右2カ所に高密度発泡スチロールの緩衝材があるだけで、バンパーの中身はすっからかん。画像左側の緩衝材を外して重さを量ってみましたが、たったの210g。外して得られる軽量化メリットより、万一おカマ掘られたときの家族の頸椎のことを考えると、外す意味はないですね。
ということで今回も失敗でしたが、156のリアバンパーって、国産車ならはめ込み式にするような箇所も、ご丁寧に全てボルト(ビス)留めにしてくれているお陰で、外すのにエライ苦労します。トランク内の内張を全て外す必要もあり、私のようなサンデーメカニックには半日仕事になってしまうでしょう。
クルマの車体には、メルシート若しくはアンダーコートと呼ばれる硬化樹脂(防音、遮熱、防振材)があちこちに貼られています。1枚の重さは数百グラム程度で大したことはありませんが、車体の下面及び側面そこら中に貼ってあるので、全部剥がすと数十kg単位の軽量化も夢ではありません。ただし剥がすのにそれなりの労力が必要なのに加え、剥がしたが最後元に戻すことは事実上不可能です。
さて、左の画像ですが、バンパー外しのためトランク左側の内張を外したところ、圧着不全のため斜線部分のメルシートがポロリと自然剥離して落ちてきました。この辺は手作業でしょうから、イタリア人工員の手抜きだと思われます。どんなに機械化、コンピュータ化が進んでも、まだまだ人間の役割は少なくないようです。
休みの度にこんなことをしている私は、どうやら近所の名物になりつつあるようです。
成果 メルシート破片 −60g
累計軽量化 37,13kg
現在車体重量 1262,87kg
指令その10 室内フロアのムダを削れ!
少し間が空きましたが、軽量化に対するモチベーションは衰えておりません。バッテリー移設作業の際に、フロアカーペット等が何重にもなっていることを話しました。上から数えますと、@フロア全体を覆う薄い合繊カーペット(付属品のマットは考慮外)、A1p圧フェルト、Bメルシート(アンダーコート)類似素材シートとそれに接着された1p圧フェルトのインシュレーター(遮音、遮熱、防震材)、Cメルシート、と足の裏とボディ鉄板との間には、実に4層(Bを2層と考えれば5層)ものシートが存在しているわけです。セルシオやクラウンといった快適性最重視のクルマならともかく、スポーツセダンの156がここまでやる必要はないのでは。そこで上のBを取っ払って軽量化を狙うことにしました。
作業を始めると、予想はしていたものの問題発生。このフロアインシュレーター、運転席と助手席のフロアほぼ全面にあるのですが左右でつながっており、中央にはセンターコンソールがあるのです。センターコンソールを外すとなると、エアコンのダクトやら何やらも外さなければならず、とんでもない大作業。そこでカッターを使ってセンターコンソール直近からザクザクと切断することにしました。しかしこれがまた難作業。よく指を切らなかったものです。やる人がいたら十分気を付けてください。いないと思うけど。
で、苦労の末外したインシュレーターがこれ。真冬に汗だくになって作業したのに成果は今1つ。軽量化の道は長く、険しい。ただ歩き続けるのみ…(←バカ)。
PS 外した後近所を走り回ってみましたが、覚悟していたロードノイズの増大は全然無し。帰ってきてから助手席フロアを触ってみてもマフラーの熱の透過もなし。いらんねコレ。あちこちパーツ外して感じるのは、156の場合不要なパーツが多いということ。「ベンツやセルシオも付けてるからウチも付けよう」みたいな。付けるなら効果のあるもの、半端ものなら付けずにコストを下げる。これくらいのいさぎよさがあればもと儲かったのになあ。イタリア人商売下手だぞ。
成果 −3,7kg
累計軽量化 40,83kg(祝! 40kg超)
現在車体重量 1259,17kg
指令その11 定番のモディファイを実行せよ!
読者の方の中には、「どうしてユーノスの野郎は床下のマットなんかめくってるヒマにマフラー交換しないんだろう?」と思ってる方がいるかもしれません。もちろん私だって純正のマフラーが重く、アフター品に換えれば多少なりと軽量化になることは知っていました。でもガイシャのマフラーって妙に高い。イエローハットなんか行くと、ステップワゴン用なんか3万円程度からあるっていうのに、156用はヤフオクでもその価格じゃ買えない。
ところが、seraさんが格安で程度の良いこの三和製マフラー(取付DIYは
こちら参照)を譲ってくれましたので、ようやく念願かなって交換することができたわけです。
さて、軽量化の数値はまずまずです。チタン製でタイコが小さいヤツにすれば倍くらい軽くできるかもしれませんが、何より高いし、爆音系のものが多いようで我が家にはちと不向きです。
成果 −4,1kg(ノーマルマフラー12,2kg、三和マフラー8,1kg)
累計軽量化 44,93kg
現在車体重量 1255,07kg