使用工具 油圧ジャッキ、馬(ジャッキスタンド)、スターヘックスレンチ、スパナ(10ミリ)、ヘックスレンチ(6ミリ・8ミリ)、オイルフィルターレンチ、廃油受けトレイ、新聞紙、ボロぞうきん
使用部品 オイルドレンボルトのガスケット(2回に1回は交換したいですね)、なお、トヨタ車用の流用ができます。詳しくは「グッズ・用品部屋」にて
いじくり時間 60〜90分
難易度 C
 
 エンジンオイルとオイルフィルターの交換は、クルマのDIYとしては最も一般的で、あまりクルマに詳しくない方でも、一度は自分でやってみようかな、と思うのではないでしょうか。そこでこのページでは、初心者の方でも一人でできるように、初歩的なことから説明してみたいと思います。なお、156のオイル交換は、ジャッキアップとアンダーカバーの脱着に少々手間がかかるくらいで、それ以外は国産のファミリーセダンと比べて難しい点はありません。とは言っても、ジャッキアップには危険が伴いますし、走行直後に作業をしない等の最低限の基本を守らないと思わぬケガをする可能性がありますので、十分に注意して作業されるようお願いします。
 
1 準備するもの
@ 工具
 ジャッキアップに必要なものについては、ジャッキアップのページで説明していますので、そちらを参照してください。
 スターヘックスレンチとは、頭に星形の凹部があるボルトを回すための工具です。TSエンジンのヘッドカバーを留めているのもこれですので、わからない方はそちらを見て確認してください。ややめずらしい部類の工具に入るかと思いますが、大きいホームセンターなら置いてあり、L字型5〜6本セットで1000円前後です。ラチェットの方が作業性はいいのですが、比較的高価なため、財布と相談の上決めてください。
 スパナは10ミリのみ使います。両口よりメガネが、メガネよりはラチェットが良いです。
 ヘックスレンチは、頭に正六角形の穴があるボルトを回す工具で、「ヘキサゴナルレンチ」や「六角」ともいい、昔は「アーレンキー」と呼ばれたこともありました。これもホームセンターに行けば、L字型10本前後セットが1000円前後で手に入ります。
 フィルターレンチは、将来クルマを乗り換えることも考えて、フリーサイズのものがよいでしょう。中型サイズで適合します。
 
A その他
 廃油受けトレイは、段ボール製の使い捨てタイプが便利です。使用後そのまま燃えるゴミで捨てられます。近所の空き地に穴を掘って埋めたり、下水口に流すのはやめましょう。(←バイク野郎のころやってました。反省)
 どんなに注意してもいくらかオイルをこぼしてしまうものです。下には新聞紙を多めに敷いておきましょう。
 
2 エンジンオイル 
 1000キロの慣らし終了後、某大手メーカー普及タイプのオイルを入れました。その辺のディスカウントショップでも手に入るような、「中の上」くらいの部分化学合成油オイルです。次に入れたのが大手石油会社系、「上の下」くらいの100%化学合成油です。ちょっと走っただけで、もう、全然違います。クルマ音痴のうちの嫁さんですら、「エンジン軽くなってる〜」と驚いたほどです。欧州車は、日本車以上に油脂類に気を使うべきと言います。全くそのとおりと言わねばなりません。みなさんも是非いいオイルを使ってみてください。
 添加剤については、私は、「入れない派」です。なぜなら、エンジンオイルは、元々基油(ベースオイル)の中に、摩擦低減剤や、酸化防止剤、洗浄剤等々の各種添加剤が、互いに足を引っ張り合わないよう考えられてブレンドされており、そこに別な添加剤を加えると全体としてのバランスが崩れるのではと考えるからです。使用を否定はしませんが、ガスケット類への浸食やオイルラインのつまり等、リスクが完全にゼロでないことは知っておいた方が良いでしょう。
 
3 交換手順
@ 交換準備
 オイルが柔らかくなって抜けやすいよう、エンジンを回してオイルを暖めてから交換を始める方もいるようですが、逆にせっかくオイルパンに溜まっていたオイルがシリンダーヘッド等各部に回ってしまい、あまり意味がないのではと思います。私は完全に冷えた状態でやっています。なお長時間の走行直後は、オイルが高温になっているのはもちろん、エンジンルームの各部とも熱を持っていますので、ヤケドの危険性があり、しばらく待って冷えてから始めましょう。
 
A ジャッキアップする
 手順は、ジャッキアップのページをご覧ください。なお、ジャッキアップしてからのドアの開閉は避けるべきです。ジャッキアップする前にボンネットオープナーを引いておくことを忘れないでください。
 
B アンダーカバーを外す
 アンダーカバーは、前方3箇所をスターヘックスボルト、左右両サイドの中央2箇所をヘックス6ミリ、その後方を10ミリ通常ボルト2箇所で固定されています。1つのパーツを、3種類の異なるボルトで固定する理由がさっぱりわかりませんが、おそらくイタリア人にはそうする必要があったのでしょう。(笑
 一見すると重そうなアンダーカバーですが、意外と軽くて2,7kgしかなく、1人で問題なく脱着できます。ただし、1本のボルトだけ残すと、思わぬ拍子に手を離してしまって「パキッ」と割ってしまうかもしれません。別に一箇所を手で緩められるくらいに残しておいてから、最後の一箇所をレンチで緩めるといいでしょう。
※ワンポイントアドバイス
 アンダーカバーは、どういうわけかドレンボルトを半分だけ覆って隠してくれています。あと数センチ短くするかしてくれれば、いちいちカバーを脱着せずにオイル交換できるのですが…。交換毎にフィルターも必ず交換するならいいのですが、オイルのみをマメに交換する方は、ドレンボルトの周りの部分だけ、カバーをカットしてしまいましょう。後でショップで交換するとしても、カバー脱着代として別料金を請求されることもなくなります。
 カットする際は、カバーを外す前に位置決めのマーキングをし、外してからカットします。のこぎりとカッターを使えば、数分で簡単にカットできます。
 
C エンジンオイルを抜く
 ドレンボルトの真下に廃油受けをセットし、ドレンボルトを8ミリのヘックスで緩めます。オイルが熱い場合、外れたボルトを無理に掴もうとしてヤケドすることがあるので、無理せず廃油受けの中に落としてしまってかまいません。後でゆっくり拾えばいいのですから。なお、しばらく交換していなかったり、前回締め付け過ぎていた場合、L字レンチでは固くてドレンボルトが回らないことがあるかもしれません。そのような場合、L字にメガネレンチをかませて回すと、必ず回るはずです。
 エンジン内のオイルをできるだけ完全に抜こうと、一昼夜そのままおく方法もありますが、せっかちな私は15分くらいでドレンをはめてます。まあ、好みですので、お好きな時間だけ放置してください。
 
D フィルターを外す
 下に廃油受けを置き、フィルターレンチを使ってフィルターを外します。フィルターの位置は、ドレンボルト右前方、エンジンルーム内の最下段にあり、今まで見たクルマの中で最高に脱着しやすい場所にあります。外すと中に30ミリくらいの大きなナットが見えますが、緩んでいることがあるらしいので、手で回して確認し、緩んでいた場合は締め付けてください。
 
E 注油準備
 オイルドレンボルトとオイルパンの接合部を乾いたぞうきん等できれいに拭き、ワッシャを取り付けて締め込みます。ネジ山つぶし防止のため、入るところまでは手で締めるのが基本です。力まかせに締めてオイルパン側のネジを切ると、ローダー(車両積載車)を呼ぶことにもなりかねないので、適度に締め付けてください。
 フィルターは、取り付ける前にOリングのゴムに新しいエンジンオイルを指に付けて塗布します。接合部をきれいに拭いておくのはオイルパンと同じです。フィルターの締め付けは、通常「手締め」が原則です。手で思いっきり締め付けるだけでも十分ですが、フィルターレンチで気持ち程度(外周部で5ミリ未満)締めてやればより安心です。レンチで強く締めると、次回交換時に外れなくなったり、Oリングがよじれてオイル漏れを起こすかもしれません。
 
F 注油量について
 オイルの量は、少なければ少ないほどエンジンに与える負荷が少なく、パワーが上がります。バイクで試したときは、レベルゲージアッパーレベル時とロワーレベル時とで、吹け上がりの軽さがハッキリ体感できるほど違いがありました。また、寒冷地においては早くエンジンが暖まります。もちろん、規定量に達していなければ潤滑不良を起こしますから、ロワーレベル以上には入っていなければなりません。ただし、ロワーレベルぎりぎりにした場合は、
 a 漏れや、オイルの上がり下がりによる消費に対してマージンがない。
 b 冷却性がやや落ちる。
 c 単位量当たりのオイルの負担が大きくなるので、若干交換時期が早まる。
 d サーキット走行等、激しいGがかかった場合に、オイルパン内のオイルが片寄り、吸い上げ不良が起きる可能性がある。
といった弊害もありますので、総合的にみれば、レベルゲージ中央当たりがベストかと思います。量にすると、フィルター交換時で4,2〜4,3Lですが、抜けの状態等によって変わります。
 
G 注油手順
 注油前に、今一度ドレンボルトとフィルターの締め付けを確認しましょう。路面にオイルをこぼしていた場合、あなたか第三者が滑って転倒するかもしれません。早めに拭き取っておきましょう。
 缶からそのまま入れるとヘッド周りにこぼれますので、オイルジョッキがあると量も計れて便利です。入れすぎると、抜くのに初めからの繰り返しになって大変ですから、最初は4Lほど入れてみてレベルゲージで確認し、順次継ぎ足していきましょう。レベルゲージでの計測は、クルマを平坦な場所に止め、エンジンをしばらく(1分程度)回し、停止後2〜3分経ってからゲージを奧まで差し込んで目盛りを見ます。156についてはわかりませんが、一般的な国産車では、レベルゲージのロワーからアッパーまでの間でちょうど1Lとなっている車種が多いです。100ccごと継ぎ足していけば、上手くゲージの真ん中にもっていけるかと思います。
 
H 確認
 アンダーカバーのため確認しにくいのですが、念のためオイルが漏れていないか、エンジンの下回りを覗き込んで確認してください。最初の運転終了後、ゲージで確認し、減ってなければとりあえずは安心ですが、その後もマメにチェックした方がいいでしょう。
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