なぜロアバーを自作しようと思い立ったかと言いますと、こすって錆だらけの中古ロアバーがヤフーオークションで8,300円もの高額で落札されたのを見て、「こんなただの棒がしかも中古でこれだけの高額で取引されているのはおかしい」と考えたからです。一部に鳥居型4点式の凝ったつくりのものもありますが、ほとんどのロアバーは横一直線の金属製のただの棒。そこそこの強度さえあれば良く、クルマを全く知らないそこらの鉄工所のオヤジにだって製品として作れちゃうようなシロモノ。スプリングやショックみたいに、テスト走行繰り返してセッティングする必要もないし。こんな材料費も開発費もロクにかかってないただの棒が2万とか3万とかするのがそもそもおかしいと思います。どうも我々外車乗りはパーツメーカーのいいカモにされているような気が…。(後日近所のイエローハットで、インプレッサやステップワゴン等、国産車のロアバーが一律4,980円で販売されているのを発見)
簡単にロアバーの働きを語ってみます。リフトがないので上のような画像しか撮れませんでしたが、緑色の線で示した部分が、フロントサスペンションのロアアームが取り付けられているサブフレームです。問題はこのサブフレームで、前方に開いたコの字型をしているのですが、ロアアームがボルト止めされている左右の辺がボディーに固定されていないのです(つまり奥の辺のみで固定されている)。したがって急な加減速等でサスペンションアームに強い力が加わった際に、この辺が開いたり、ねじれたりしてハンドリングに悪影響を与えているのです。そこでロアバーで左右の辺をつないでやることで剛性を上げ、これらの不必要な動きを抑え、ハンドリングを改善しようとするものです。つまりは固い棒でサブフレームの両端をボルト止めするだけで完成なわけです。ね、簡単でしょ?
で、固い棒には何がいいかな〜? と工具専門店で見つけてきたのが左の「コの字」型断面アルミ棒。「コの字サブフレーム」の強化には「コの字アルミ棒」とシャレたわけではありません。単なる平板だとねじれやたわみに対してあまりに剛性がないので、このタイプにしたのです。サイズは、長さ1m、幅3p、高さ1,5p。両手で持って思いっきりねじってみても、ほとんどよれが感じられないくらいの強度があります。値段はたったの780円! 当初の予定ではこれに取付ボルト代の200円位を足して、1000円で製作可能の予定だったのですが…。
自作ロアバーの取付予定位置は、市販品のほとんどが使っているのと同じ、サスペンションロアアームを固定している15ミリの六角ボルトにすることにしました、というか他に取付可能な場所はありませんが。
で、ここにアルミ棒を当ててみたのですが、左右のサブフレーム間にエンジンのオイルパン部分が出っ張っており、ダイレクトにつなぐのは不可能。さらにはボルト取付位置がサブフレーム底面から1pほど凹んだ部分にあるため、ボルトは2pほど長いものに取り替えなくてはならないことが判明しました。
左の画像が外してみた上のボルトです。径は10ミリで、長さは60ミリ。頭は15ミリですが、必然性はないので、14でも17でもあるのにすればいいやと、20ミリ以上長いサイズを探して軽い気持ちで工具専門店に行きました。
ところが、びっくりしたことに適合するサイズのボルトがどこに行ってもないのです。日本の規格ですと、径10ミリのボルトのネジピッチは1,5ミリなのに対し、このボルトのピッチは径8ミリ用の1,25ミリだったのです。
仕方なく家に帰ってウェブでネジ屋を探し、あちこちに在庫の有無や、注文生産した際の価格を問い合わせたのですが、ほとんどなしのつぶて状態。1本何十円の薄利多売の業界ですから、ボルト2本だけ欲しがってる個人ユーザーなんか相手にできん! って気持ちもわからんではないけど…。
で、これ以上、アホなネジ屋に頭下げるのもイヤになって、サブフレームに直接ドリルで穴空けようかとか、いろいろ考えたのですが、ステーをかましたらどうだろう? と突然ひらめきました。そこでホームセンターに行ってみると、ドンピシャリ! 左の理想的ともいえるステーを発見したのです。「株ェ幡ネジ」(結局ネジ屋に世話になってたりして)の製品で、価格はちょっぴり高く、1個380円。ボルトを通す穴が少し小さかったので、左の回転やすりで10ミリ径に広げました。
左がステーをアルミ棒に取り付けた状況です。ステー自体は頑強ですが、取付の4ミリ径ビスがちょっとたよりないかな?
で、これをサブフレームに取り付けようと、クルマの下に潜ったところで、一人で大笑い。そう、ボルトを穴に通しておくのを忘れていたのです。近所の人は、一人でにやにや笑いながらアルミ棒持ってクルマの下に入ったり出たりしている私を見て、いよいよ狂ったかと思ったに違いありません。
苦労の末完成したのが左の画像です。取付部分の状況はその下の画像をご覧ください。最低地上高は3pくらい下がったかもしれませんが、多分大丈夫でしょう。でも車検はどうだろう?
 
さてさて、さっそくテスト走行に出発です。この瞬間があるからクルマいじりは止められません(笑) 当初の予定にないステーを介したせいで、剛性は市販品に比べるとかなり落ちたと思われ、正直効果はあまり期待していなかったのですが、乗り出してびっくり! 発進・加速時のトルクステアが大幅に減っているではありませんか。さらにはステアリングも軽めに感じられるようになり、装着前に比べればまるでFR車のようなステアフィールです。
まだ町中だけの走行なので、コーナリングについては未知数ですが、交差点を曲がった感じでは舵の効きも幾分シャープになっているのが体感できました。これなら次のサーキット走行にも大いに期待が持てます。
これだけの効果がわずか1800円で手に入ったのですから、今回のDIYは大成功といってもいいでしょう。DIYは誰にでもお勧めできるものではありませんが、ロアバーの装着自体は絶対良いですよ!
わかりにくいかもしれませんが、車両左側の取付位置です。このままの状態でメガネでボルトの脱着ができます。
使用工具 15ミリレンチ、ドリル
いじくり費用 部品代1800円
いじくり時間 180分
難易度 A
※お願い
このページを参照してロアバーを自作される方、または市販品をご自分で取り付けられる方、今回取付に使用したボルトは、前輪のサスペンションアームを固定している重要な部品であり、もしも走行中に外れた場合は操舵不能になる可能性があります。十二分に注意して作業を行うよう、お願いします。