私自身、156に乗るまではアーシングについてほとんど知らず、青忍さんはじめ諸先輩方のHPで1から教わったクチで、「入門」なんて偉そうな文章書ける身分ではありませんが、分かってみればごく簡単な原理。「アーシングって何なの?」という方はちょっと読んでみてください。

 まず、上のどうしようもなく下手なイラストをご覧ください。電球が光る原理は誰でもわかりますよね。電池のプラスの極からコードを伝って電流が流れ、電球のフィラメントを発光させながら通過し、再びコードを通って電池のマイナス極に戻るわけです。

 次に、イラストの電池をクルマのバッテリーに、電球をインジェクション(燃料噴射装置)に置き換えて考えてみましょう。(本当はこれにオルタネータ〔ダイナモ〕で発電された電流も加わるのですが、話がややこしくなるので省きます。

 バッテリーのプラス極から出た電流がケーブルを伝ってインジェクションを作動させ、最終的にバッテリーのマイナス極に戻るわけですが、電池と電球の例とは異なり、インジェクションから出た電流は一旦エンジンを経由してからメインアースケーブルを通ってマイナス極に戻るのです。これはなぜかといいますと、クルマに使われている電装品は、プラグからライトバルブ、カーステレオ等々、数が多く、その一つ一つにアースケーブルを結線していたら面倒だし、コストも上がるので、エンジンや車台そのものを一時的に戻り電流の通り道とし、バッテリー近くに設けられた車台のメインアースケーブルから、集中してマイナス極に戻るようになっているのです。(プラグ等一部例外はあります。後述)

 エンジン、車台とも金属ですから一応電導体ではありますが、専用のケーブルに比べれば電気抵抗は大きいですし、さらにメインアースケーブルには、ブレーキランプから電動ウインドー、エアコン等クルマのほとんどの戻り電流が集中することになり、その負担はとても大きいのです。

 そこでアーシングケーブルの登場です。インジェクション直近にケーブルをつなぎ、できるだけ短い長さでバッテリーのマイナス極に直につないでやれば、戻り電流は抵抗の大きいエンジンもメインアースケーブルも通らずに済み、スムースにバッテリーに戻れます。水門を大きく開ければ水流が増すのと同じ道理で、インジェクションには強く安定した電流が流れ込むことになり、確実な作動が期待できるわけです。ヘッドライトなら明るさが、カーステレオなら音質向上がそれぞれ期待できます。これが、アーシングの原理と目的なのです。

 先に例外として挙げたプラグですが、ここにもアーシングは有効です。プラグが取り付けられているシリンダーヘッドの1番プラグ側(車台右側)に、いわば「純正アーシングケーブル」ともいえるケーブルがはじめから取り付けてあります。それだけプラグには安定した強い電流が必要なわけですが、ご覧になればわかるとおり、純正ケーブルはあまり太さがない上、迂回しており、低抵抗性で十分とはいえません。またその結果劣化も早そうです。そこで、ここには補助的役割としてアーシングケーブルを増設してやるわけです。

 アーシングによる弊害については、「バッテリーに負担がかかるので、バッテリーの寿命を縮める」との説もあります。この点について、アレーゼのメカ氏に尋ねたところ、「多少はあるかもしれませんが、心配するほどのものじゃないですね」とのことでした。