今回の前後サス交換は、ka-bo-さんのHP、「Web ka-bo-」がなければDIY不可能でしたし、やろうとも思いませんでした。交換手順は、Web ka-bo-内「バトルガ12、13」に親切・緻密に紹介されていますので、そちらをご参照ださい。ここでは、個体差から生じたと思われる作業手順の相違について、オマケ的に掲載してみます。ka-bo-さんには重ね重ね感謝です。
使用工具 レンチ・スパナ類(14〜22ミリ)、ヘックスレンチ、スプリングコンプレッサー、ハンマー、角材等
いじくり時間 前後交換で1日半(慣れれば1日でも可)
いじくり費用 スプリングコンプレッサー 6,000円〜
難易度 A
 
今回交換したのは、画像カーツ社の車高調です。
カーツの車高調は減衰が調整できないものの、15万円程度と車高調としては格安で、しかも2センチ以内程度のダウンならそれほど乗り心地も悪くなりません。
今回、1年ほど使用したものをある方がいい条件で譲ってくれましたので、装着することができました。再び感謝です。
 
ところで、サスの交換作業は約15年ぶり。前回はBMWの320−6で、フロントストラット、リアセミトレで単純な作り。しかも整備士の先生が手伝ってくれ、会社の整備工場で工具も揃ってました。今回は1人、自宅の狭い車庫。果たしてうまくいくのか、自信のないまま作業を始めました。
左2本がフロント、右がリアです。前後ともノーマルに比べてバネの巻き径が小さく、巻数が多い形状です。
フロントの作業は、午前9時に初めて、終わったのは午後5時半でした。プロなら工場長にスパナ投げつけられるような遅さですが、僕らは好きでいじくってんですからのんびり楽しみましょう。
 
最初に突き当たった壁は、ka-bo-さんも悩まれたナックルアームとアッパーアームとをつなぐコネクティングロッドの抜き取り。ナットは簡単に緩みましたが、圧入されたロッドはka-bo-さんの教えのとおりにハンマーで叩くも外れる気配なし。
最初プーラーという専用工具を買おうかとも思ったのですが、使用箇所によっていろいろと種類がある上、価格も高そうでやめました。
困ったところで目に付いたのがガレージジャッキ。角材(長さ60センチ程度)を使って下からアッパーアームを持ち上げ、ロッドを叩くとスコンと外れました。事故防止のため、ジャッキを上げる際は少しずつ上げるようにしましょう。
まず、リアから行いました。22ミリの狭角メガネか貫通タイプソケット(前記バトルガ12参照)が必要ですが、フロントに比べれば簡単で時間もかかりませんので、リア側から作業開始することを強くおすすめします。もし、リアで苦労するようなら、フロントは手を出さず、プロにお願いした方がいいでしょう。
 
ジャッキは高く上げすぎないように注意。上部取り付け部がトランクのかなり奥にあるので手が届きにくいのです。また、センターナットは供回りするので、下側を外す前に緩めておくといいです。
 
作業時間は3〜4時間程度かな。
矢印の調整ダイヤルは上に上げると車高が上がり、下げると下がります。最初、上げればバネの自由長が短くなって車高が下がると思ったのですが、全く逆でした。単純に、上げればその分センターロッドごとバネが上に上がって車体を持ち上げるわけです。だからバネの自由長に変化はありません。
実はコンプレッサーを買いに行く前、ダメもとと考えながらこんなアホなことを試してみました。ビニールひもを目一杯引っ張りながらバネに巻き付け、コンプレッサーの代わりにしようかと思ったのです。結果、10分くらい必死に巻いた末、2ミリくらい縮みました。しかし、バネの他の部分がその分を補って伸びてしまいます。この方法で外すのは絶対に不可能です。
カーツの車高調はバネ・ショックのユニット交換なので、スプリングコンプレッサーは不要と思い、買ってなかったのですが、外してビックリ。アッパーブッシュゴム(インシュレーター)がセンターナットの下にあるじゃないですか! リアと違ってフロントのバネはビンビンに圧縮されてスプリングシート内に収まってます。不用意にセンターナットを外そうものなら、いきなり指を持って行かれるかもしれません。
急いで自転車を走らせ、2軒めのカーショップでコンプレッサーを見つけました。ただの長いボルト+鈎&ナットで6,200円はちょっと高い気もしますが、需要量を考えればこんなものでしょうかね。
スプリングコンプレッサーを使ってバネを縮めるのがまた大変でした。コンプレッサーのボルト頭が24ミリと大きく、ラチェットがないためメガネで締めたのが失敗。エアツールや電動(慣れないと危険)があると楽ですが、せめてラチェットは準備したいですね。
 
で、バネが縮んだところで今度はセンターナットが供回りして緩みません。ka-bo-さんの156は、センターロッドにヘックスを差し込んで供回りを防ぐ方式だったそうですが、なぜかユーノス号のは先端の2カ所が平行に削ってある作り。六角形ではないのでメガネは入らず、スパナしか使えません。しかも6ミリ幅だからスパナが短くて全然力入らず、おまけにすぐ外れる。悪戦苦闘した末、最後はスパナにゴム板当てて上から体重を掛け、満身の力を込めたら外れました。あー、しんど。
サスペンションとボディの間に挟まれ、微振動を吸収する役目を果たすのが上のアッパーマウントブッシュです。これが摩耗や変形で劣化するとフロントサスから「キコキコ」というような異音が発生することは156では割とよく知られている経年劣化症状です。発生時期の違いはあれ、このトラブルは国産車でもよくあるものです。
対策としては、ブッシュの交換が一番ですが、工賃もそれなりにかかるため、一時的にでも直ればいいという方は、ここにゴム用潤滑剤(シリコンやフッ素系のもの。CRC等金属用はゴムを膨潤させるため絶対不可)を吹けば直ります。
 
画像は、納車後約2年、走行約10,600km時のものです。乗り方は結構荒いですが、ゴムのブロック部の角がいくらか丸くなっているくらいで、まだまだ全然OKの状態です。乗車人員・積載物等の条件によって異なるでしょうが、3万kmくらいまでは大丈夫では? 私は組み込み時に、延命のためクレ社の「ラバープロテクタント」をたっぷり塗布しておきました。
表側
裏側
スプリングシートゴム
側面
さて、苦労した作業も終わり、片付けを始めたところで、何やらゴムの部品が1個、段ボールの陰から出てきました。これって、もしかして‥‥‥。
 
ガビ〜ン!!
 
片側だけ、ダストブーツを付け忘れたまま装着してしまったのです。もちろん、もう一度外さないと付けられません。結局この日はフロントサスの交換作業を1回半やってしまいました。みなさんも作業は慎重に。
私もマヌケですが、イタリア人もあちこちやってくれてます。画像はアッパーアームの取り付け部ですが、ご覧のような針金(ビニール袋の口をしばるようなタイプ)が巻き付けられたまま残ってました。まあ、このままでも実害はありませんけどね。
これを見つけたときのショックといったら‥‥‥。