弐代目 アルファ156 アルファロメオのメンテナンスなどなど弐代目Alfa156は、つちのこが作成しています
■弐代目 Alfa156
1998y V6-6MT

メンテナンス・DIY整備

整備記録

弐代目156 購入への道

すぐわかる 弐代目156
■壱代目 Alfa156
2000y TS-Sele

壱代目156 購入への道

156の安全性

役立ち雑記帳

不定期日記

リンク

新・掲示板

過去の企画物ページ

当サイトのご案内

メール

Selespeedの乗り方
これから初めてSelespeedに乗る人にむけて、記述します。
ATのつもりで運転すると結構とまどいます。MTでもATないこの機構を乗りこなすには経験と正しい知識が必要です。

時には「儀式」のようなことも必要になったりします。

※ 追記
この文章は、初期ロットの156Sele、およびリコール後のTS仕様の156Seleについての文章です。ちなみに初期ロット147も似たような傾向です。
156JTSは加速・減速が「感覚的に」薄まった印象です。要するに谷のない特性の良いエンジンなのですが、その分加速「感」は少なく感じられます。
フェイスリフト後の個体には乗ったことが無いので不明です。(;´Д`)

※※ ちなみに衝突画像は「156の安全性」に置いてあります。

乗車〜始動まで

なんとSelespeedはエンジンをかける前から「儀式」が必要です。
運転席側のドアを開けると、エンジン側から小さく「きゅいぃぃぃぃぃぃ〜ん」と音がしませんか?これは、Selespeedがギアチェンジを行うために油圧アクチュエータが始動した音です。

キーを刺して「ACC ON」にしてもアクチュエータは始動しはじめますが、結局待つことには変わりないので運転席を開けたほうがいいです。何らかの理由で助手席側から乗る場合、面倒でも運転席側ドアを一度開けてください。(;´Д`)
10秒ほど待つと音がしなくなり、適正油圧となってエンジン始動の準備ができたことになります。よって、これ以前の状態でエンジンを始動させると各部に負担が生じます。面倒でも音がしなくなってからセルを回すようにしてください。
またバッテリー保護のことも考えて、キーを刺してすぐにエンジン始動させるのではなく、「ACC ON」にしたままパネルの警告灯が消灯するのを待ってから始動すべきです。スターターだけでなくSele駆動にも電気は使用されるので、後々効いてきます。

もちろん、始動の際はブレーキを踏みながら、です。失敗したときはあわてずにキーを「OFF」まで戻してから、手順をやり直してください。

この時点で、シロートに運転させたくなくなります。(;´Д`)

エンジン始動〜動き出し

エンジンが始動すると、ギアが何であっても「ニュートラル(N)」になります。逆に、この時に何らかの不具合で「N」に出来ない場合、なんとエンジンは始動しません。

Sele不良などで異常停止した場合、大抵ギアは「N」以外ですからこれに気が付かないと永久に始動できないこともあり得ます。
このような場合は、キーを「ACC ON」にしながらレバーを左右にガチャガチャして強制的に「N」にすると始動しやすくなります。

ちなみに、異常停止した場合は30秒間エンジンは再始動しません。Σ(´Д`ズガーン
場所によってはクラクションの雨を浴びることになりますが、あきらめて下さい。(;´Д`)
(未確認ですが、JTS以降のプログラムだと上記30秒ルールは無くなったそうです)

さて、無事にエンジンが始動してから、まずはブレーキを踏みながらレバーを前に倒し、一速に入れます。もう一度前に倒すと二速になります。

困ったことにさらに「儀式」が必要です(;´Д`)。
出来れば、いきなりアクセルを強く踏み込まないでください。たまにクラッチの接続が悪く、ホイルスピンしてその後急発進します。めちゃめちゃ危険です。(;´Д`)
最初はそ〜っと踏み、クラッチがつながってギアが入ったのを確認してから改めて踏み込んでください。
このクラッチがつながる感覚がわかるとSeleはとてもスムーズに運転できるようになります。

また、取説にもありますが、「ブレーキを踏みながらアクセルを踏まないでください」ということになっています。要するに「左足ブレーキ禁止」です。坂道発進などで左足ブレーキを使うと便利ですが、出来ればサイドブレーキを併用したほうが良いです。
私は別段不具合は生じませんでしたが、一応気にした方が良いかも。サイドブレーキはしばらく使ってれば体が慣れます。

走りだしてから

何で動かすだけでこんなに気にすることが多いんだろう。(;´Д`)

一速で走り出し、ある程度後にシフトアップすることになるはずです。このときどうしてもギクシャクしてしまう方がいるかと思いますが、はっきり言って運転手のあなたが原因です。ほぼ間違いなくあなたが機械の特性を理解していないだけです。

まず、Seleの基本的な機構はMTであることを思い出してください。MTではシフトチェンジの手順として、「クラッチを切る」>「ギアを抜く」>「回転数を合わせてギアを入れる」>「回転数を合わせてクラッチを繋ぐ」となります。
この「ギアを抜く」時にアクセルを緩めることによって、ギアが抜けやすくなります。またシフトアップの時は、シフトアップ後のエンジン回転数は絶対に下がることになるので、このこともアクセルを緩める理由の一つになります。

まず、シフト操作を行う前に、アクセルを少し緩めてください。緩めなくても機械が勝手に回転を合わせてくれますが、合わせる分だけシフトチェンジの時間が長くなります。

また、別の要因として可変インマニが挙げられます。TSエンジンは可変インテークマニホールド機構を備えており、具体的に3000rpmを境に吸気経路が変わります。このため「3000rpm」をまたぐようにシフトチェンジを行うと車がギクシャクします。
試しに「CITY」モードで走行してみてください。急激にアクセルを踏まないで、普通に走っていれば3000rpmでシフトアップするはずです。これに合わせてアクセル操作を行うと、とてもスムーズに走れるはずです。
少々引っ張って4000〜5000rpmまで回すからギクシャクするのであって、その前にシフトアップするか、でなければレブリミットまで回してからシフトアップした方が良いことになります。

減速

最初に述べておきますが、シフトダウンは減速の手段ではありません。
MTでは少々の技術が必要なシフトダウンの操作ですが、Seleではレバー操作一つで完璧にできてしまうのでついつい無意味なシフトダウンを繰り返してしまいますが、これはとてもエンジンやミッション、駆動系に負荷をかけることになります。

冷静に考えれば、一瞬で回転数が急激に変化するのだから各部に負荷がかかるのは当然ですよね?TSエンジンは機械的に優秀なこともあって、急激に回転数が変わってしまいます。これが、エンジン補記類や各種ベルトに大きく負荷を与える最大の原因です。

ここは落ち着いて運転して、減速するときは、まずきちんとブレーキで速度を落とします。その後、改めて加速するときにアクセルを踏み直すと、Seleが勝手に適切なギアに変更してくれます。
この一連の自動操作に反して人間が余計なシフトダウン/アップすると、無意味に一速に入ったり、減速時にギアが抜けて「N」になりエンジンブレーキが効かなくなって、結局制動距離が長くなってしまったりします。

慣れないうちは全て機械任せにして、どのタイミングでシフト操作されるのか体で覚えてください。条件によってかなり複雑な操作をしていることに気づくはずです。
この機械の操作を覚えてから、人間が補助的に操作を先回り・追加することができるようになります。

もう一つ、これはSeleの致命的な欠点かと思いますが、例えば減速して完全に停止する直前に再度加速する時に、前項で述べた「ホイルスピン」>「急発進」が高い確率で発生します。
これは減速によってSeleがギアを二速に落としてから、停止直前になって一速に落とそうとした瞬間にアクセルを踏むことにより発生します。「N」の時に回転数が思いっきり上がるのだから、クラッチが繋がれた瞬間に急加速するのは当然と言えば当然です。

が、これなんとかならんもんでしょうか?信号の多い都心ではこのようなケースが多発するので、かなり気を遣って運転することになります。対処法は、前述のようにゆっくりアクセルを踏んで、クラッチがきちんと繋がれてから改めて加速する、以外ありません。
自動でシフト操作してくれることが裏目で出ている典型的な例です。

渋滞

Seleが最も苦手な操作です。

単純に走らせるだけであれば、アクセルを緩めに踏んでいればAT車のクリープ走行程度の速度で走ることは走ります。
が、この状態は機械的に見れば「半クラ」のまま走行していることになるので、油圧アクチュエータでクラッチ操作しているSeleの場合、ずっとアクチュエータが作動していることになります。
作動しつづければ油温があがって油圧が下がり、よりアクチュエータに負荷がかかるようになります。繰り返せば、アクチュエータは壊れます。

これが、アクチュエータ破損が多発した最大の原因ではないでしょうか。ローマやトリノ、パリのような都会であれば酷い渋滞が発生しますが、基本的に渋滞のないヨーロッパであればこのような不具合が生じなかったのでしょう。

とにかく、耐久力不足のアクチュエータをいたわることを大前提として、半クラで走行することは出来るだけ避け、ギアがつながった状態か、切れた状態かどちらかにしておくように走行しないといけません。

つまり、半自動変速装置であるSelespeedを装備しておきながら、走行状態によってギアチェンジを意識的に行わないといけない、ということになるのです。また仕様のため、「N」にするにはブレーキを踏みながら操作する必要があり、「N」から一速に入れる場合もブレーキを踏む必要があります。
渋滞の中を走行しながらでは、このような操作は現実的には実行できませんね。(ピンと来ない方、Seleで一度やってみれば理解できます(;´Д`)
改めて言うまでもなく、このような走行は運転手に対して大きなストレスを感じさせます。Seleオーナーの方は、乗るに従いだんだんと酷い渋滞の発生する時間・場所は走行しなくなっていくはずです。

山道・峠

Seleが最も得意とする道路でしょうか。

ある程度の速度・エンジン回転数を保ちつつ、適度な頻度でシフトダウン・アップの操作が繰り返される道路状況はSeleに限らず、156を走らせるに最も適した環境かと思います。
ATと異なり、基本機構がMTであることからエンジンブレーキも積極的に利用でき、車を運転させる楽しさを存分に味わうことが出来ます。

一点だけ注意することとして、峠のつづら折りのヘアピンカーブは苦手です。

一人で走ってオーバースピードで横Gを感じながら曲がるならともかく、安全に走行していれば十分に減速することになります。同乗者がいる場合はなおさらでしょう。
このとき、減速のあと加速するためにアクセルを踏むと、二速になっているはずです。カーブの後の道が平坦ならば問題になりませんが、大抵の峠では急な坂になっているはずです。このとき二速で減速して回転数が落ちている場合、トルク不足で坂を登ってくれません(;´Д`)
「これ軽自動車?」と錯覚するくらいです。で、仕方なく一速に落とすことになるわけですが、二→一速への操作には数秒の時間が必要となります。その間も減速するので、全然気持ちよく走れません。後ろの車には間違いなく迷惑になってます。

このような場所では、あらかじめカーブを曲がっている最中に一速にしておく、以外に有効な解決策がありません。カーブ前の直線での減速中に一速に落とすことは、ギアチェンジによる空走時間が発生するので危険です。

まとめ

要するに、シフト操作の必要の無い道路を走れ、ということになります。(;´Д`)
つまらん。

シフト操作が簡単なイメージを持って購入された方は、現実の姿にとまどう事でしょう。ATの代わりとして考えていたなら、なおさらです。

まだ半自動変速機という機構は技術的に成熟しきっていません。SelespeedはMTとATの利点を合わせ持つと同時に、MTとATの欠点も同時に合わせ持っています。147であれば操作プログラムが改良されて走りやすくなっていましたが、前モデルの156Seleを購入するのであれば上記のことは頭に入れておいた方が良いでしょう。

私個人としては、Seleの利点には大いに楽しませてもらったものの、総合的に見ればやはり不満な点も多く、現在のMTの方が自在に操作できるイメージです。

購入予定の方は、是非試走してから検討してください。

壱代目Alfa 156 Index
「弐代目 Alfa156」 TOPページへ戻る