弐代目 アルファ156 アルファロメオのメンテナンスなどなど弐代目Alfa156は、つちのこが作成しています
■弐代目 Alfa156
1998y V6-6MT

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2000y TS-Sele

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現時点での私的156評論
私は都合2台の156を乗り継いでいます。
1台目は2年半、2台目は1年と少々と結構な年月を156と共に過ごしていますが、これから156を買おうとしている方向けに感想というか評論というか、まあなんとなく思っていることを徒然書いてみましょう。

・156ってのはそもそも何なのか

まず、156というクルマはどんなクルマなのだろうか?
一般的な自動車雑誌に記事では「スポーツセダン」なる表現で書かれていることが多いように思う。セダンではなく、スポーツセダン。この「スポーツ」という言葉に対する意味を考察するよりも、「セダン」ではないことにまず注目したい。

セダンとは何だろうか。エンジン、室内、トランクの3つの部位にわかれた3BOXの構造。エンジンからの熱・音・振動を室内から遮断し、荷物そのものはトランクへ、また後方からの音・振動を車内から遮断する。車体剛性も十分に強くできる。室内空間は広く、座っている時の体勢にも無理がない。結果、他のどんな形状のクルマより乗員は快適に過ごすことができる。
これがセダンの理想。具体的にはセルシオやベンツSクラス。

少なくとも、この条件を156は十分に満たしていない。音・振は結構な割合で乗員に伝わり、後席に至っては座面は薄く足下狭く頭上は狭い。エアコンも今ひとつ効きが悪い。
結果、156はセダンの形をしてドアも4枚付いているが、世の中のセダンと比べればレベルは非常に低い。誰が何と言おうと低い。強いて言えば、ドライビングポジションは各種調整機能のおかげで快適なポジションがそれなりに取れるぐらいか。

「スポーツ」の部分にも考察してみよう。
スポーツカーとは何か。運動性能の為に全てを犠牲にしたクルマ。加速・減速・旋回、コントール性を求め車重を落とす。無駄なものは削り落とす。イメージではロータス・エリーゼ。

少なくとも、156はそういったスポーツカーでもない。どちらかといえばポルシェやフェラーリといった高出力と快適性を両立させようとしているGTカーに近いものがあるが、やはりこの2社のクルマのレベルにも到底到達していない。

セダンでもない。スポーツでもない。結局のところ、何か。
私が思うに、結局どちらにも属することのできない中途半端なクルマだと思う。セダンに使うには今ひとつ快適でなく、スポーツカーっぽく味付けはされているが本物には及ばない。
156を定義付けるには別のカテゴリーを考えないといけない。

156とは、何か。

私は、「見た目が全て」のクルマだと考えている。
見る者の気持ちを高揚させ、所有欲を駆り立てる。美しい、カッコイイと感じさせるデザインのために、セダンとしての機能は意識的に取り払われている。しかしながらパッケージがセダンのままなので、スポーツっぽく味付けして商品価値を高めようとしている。

イタリアで標準的に乗られている仕様を考えてみる。1.9Lのディーゼルエンジン、柔らかめのサスペンション、185/65R15の乗り心地重視のタイヤ。これらがそろえば、十分平均的なセダンとして通用できる。そして、見た目。人間、どうしても見た目は気になる。ダサイ物よりカッコイイ物。それに実用性が伴っていればなお良い。
かくして、ヨーロッパ圏では売れたのだ。売れたと言っても今までが売れ無さすぎだったのであって、多くの競合他社のクルマとは総合的に見れば負けている。

改めて結論づける。
156とは、見た目が全てのクルマである。
振り返って考えれば、私が購入した動機も「見た目」がほぼ全てであった。

・実際の使い勝手

前節で述べたように、一般的なセダンと考えて購入すると痛い目にあう。
最近、クラウンやセドリックのような「上の下」クラスの国産高級セダンの販売が落ちている。環八を走ればすぐ気づくが、ベンツE/Cクラス、BMW5/3シリーズばかりが目に付くようになった。国産高級セダンユーザが乗り換えたのだと思われる。いろいろと理由が考えられるが、ここではあまり深く考察はしない。
問題はこれらベンツ・BMWと同様に考えて156を購入しようとしているユーザだ。絶対に失望する。求めていることと、156の良い点とがかみあっていないのだから。

音・振・乗り心地だけで比較すればベンツ・BMWには遠く及ばない。156はマーク2以下である。乗っている本人が言うのだから信用して欲しい。ちなみに「今現在の」国産車を音・振・乗り心地だけで比較しようとすれば、並み居る外国車をほとんど蹴散らすことができるのだが。

最も適していない使用方法は、後席に人を乗せて送迎すること。全くひどいものである。狭い、座りづらい、音はこもる、振動は大きい、ドアの取っ手は使いづらい。3列シートワゴンの3列目ほどではないが、一般のセダンの後席から考えればレベルは非常に低い。
よって、後席は荷物置き場か、チャイルドシート固定用と考えた方が良い。あるいは、3列シート車のように「たまに3人以上人が乗ることもある」場合に乗ってもらう、という使いかたを考えていないといけない。

具体的な状況としては、夫婦あるいは恋人2人で乗るか、オーナー1人で乗るクルマだと考えればよい。たまに乗る親や知人、子供は後席へ。ちなみに私の後席の主な使い道は「犬を乗せる」である。

2人乗り限定と考えれば、飛躍的に評価は良くなる。前席シートは十分乗り心地良く、「スポーツセダン」だけあって操縦性は一般的セダンより良い。高速道路では右車線を走り続けても全く問題無く、山坂道もハイペースで走行できる。
156は、走らせるためのクルマである。動かさずにガレージで放置したり、スーパーへの買い物のためだけに使用するクルマではない。旅が好きで、ドライブが好きで、クルマそのものが好きな方ならば満足行くであろうし、156そのものも快適な状態が保たれやすくなるだろう

なお、一部の方には重要かと思われるが、長めのゴルフバッグはトランクには入らないので注意されたし。(一応斜めに1つだけ入る)
私には未来永劫全く関係のないことだが。

・中古車を買う場合

いかなる中古車であっても、かつては新車の時代があった。その状態からどれだけ変化しているかを見極めないといけない。

エンジンは問題ない。ベルト系が弱点ではあるが、周知のことなので販売側もその点心得ており、少なくとも点検・調整はしてくれるはずだ。
注意したいのは、156の足回りは非常にヤレやすい。たった3年で足回りは激しく劣化してしまっている。通常中古車の納車前整備では足回りのリフレッシュはメニューに含まれていないから、劣化した状態のまま店頭に並び、劣化したまま納車される。結果、乗り出してからなんとなく満足できない、ということになる。

また、年式毎の作りにも注意したい。総じて98〜99年までの個体は作りが甘く、足回りが弱りやすい。年数の経過の違いもあるが、劣化の度合いは明らかに強いはずだ。これは2000年式以降から安定しだし、01年のマイナーチェンジ、02年の内装変更でほぼ改良は終了する。03年に新デザインになるが、中身は02年のものとほぼ同じだ。

セレスピードは注意が必要である。リコールにより壊れることは少なくなったようだが、そろそろリコール時に交換された対策品の寿命不良が発生しだす頃と思われる。もちろんリコール前のようにほとんどの個体で壊れるような事態にはならないと思うが、高価な部品なので気にしておく必要はある。
あ、Qシステムはバランスが悪いので検討する必要はありません(w。純粋なトルコンAT仕様は無いと考えてください。別項で述べていますが、セレスピードもATではなく、MTの延長の仕組であると考えてください。

最後に、購入する場合は信頼できるディーラーや専門店から購入することを強くお勧めします。ヤレの激しい156は、消耗品の交換履歴や整備の質が中古車のとしての質に大きく影響されるので、信頼できる個体が比較的少ないのが現状です。くれぐれもヤフオクの現状販売などでは購入しないようにしましょう。

・まとめ

・見た目が好きな方は迷わず購入してください。

・走りを重視される方は、期待はずれとなる可能性が高いです。それっぽい味付けではありますが、それほど良い素材ではありません。また登録3年後以上の中古車の場合は、間違いなく整備してからでないときちんとした走りには戻りません。

・後席に人が乗る機会が多い方にはお勧めしません。基本的に4ドアの2+2と考えてください。

・維持費はその他の欧州車と同様、それなりにかかります。ヤレた部品をどこまで我慢できるかがポイントです。

・回転半径がでかいです。V6右ハンドルは特に巨大なので注意。片側2車線道路でもUターンできない場合があります。

・TSとV6、どちらも良いエンジンです。燃費はTSは8-10km/l、V6は6-8km/lくらいを想像してください。また、かなりの道路状況と個体差に左右されます。

・基本的にMTを購入することをお勧めします。セレスピードは短期〜3年で手放す前提の方にはお勧めできます。但しJTSは性能はともかくつまらないエンジンなので、156の良い点が削がれてしまっています。QシステムはどうしてもATじゃないと駄目、という方以外は検討から外してください。

・156の良い点をどれだけ好きになれるかが評価の分かれ目です。いくつか妥協しないといけない欠点が出てくるかと思われます。また、減点法で評価される方には全くお勧めできません。素直に国産車を購入されることをお勧めします。

万人が全ての状況で満足できるクルマなど存在しません。
妥協と最適化の結果生まれるクルマに対して、自分の求める価値がどれだけ達成されるかが重要です。

156は万人の全ての要望に応えられるクルマではありません。156が好きであればこそ、改めて欠点に目を向けてそれに許容できる自分がいるかどうか再確認すべきかと思います。

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