2003年1月13日、ツインリンクもてぎにて行われたサーキット走行会「トライザサーキット」に参加してきました。サーキットを走るのはクルマ・バイクを問わず、初体験。走る前は、何となく、公道の延長線上にあるのかなと思ってましたが、さにあらず、ほとんど別世界と言ってもいいワンダーランドがそこにありました。全てを文章で表現するのは困難ですが、自分なりに見たこと、感じたことを述べてみます。一つ言えるのは、「走り好きなら一度は走ってみよう!!」です。クルマや走りについての考え方が変わること必至ですヨ。
受付終了後、初心者のための簡単な講習を受け、パドックのガレージに戻ってみると、先にエキスパートクラスでスタートしていた、隣のガレージのバリ改NSXが早くも派手にクラッシュしているではありませんか。リヤセクションはウイングがもげて、見るも無惨な状態になっています。ドライバーは、つい先ほど私に参加車用ステッカーの貼る場所を教えてくれた人で、応急修理で何とか自走可能な状態にすると、「気を付けて」と言い残すと、暗い表情で帰ってしまいました。う〜ん、のっけから嫌なものを見てしまいました。何だか自分の数時間後を見ているようで、ただでさえ不安な気持ちが一層増しました。
放送で私が参加するビギナークラスの走行5分前が告げられ、スタート地点に向かいます。周りはみんな自分より速く見えるので、スターティングラインの一番後ろに着こうとしたのですが、オフィシャルに列の途中に誘導されてしまいました。スタートを待つ間は、音が聞こえそうなくらい心臓がバコバコ。楽しみに来たはずが、恐怖感で出撃前の特攻隊員のような気分です。正直な話、やめて逃げようかと思いました。でも聞いた話では、この恐怖感を無くさない方がいいとのこと。無理にいきがらず、そのまま怖がってることにしました。
最初の一周は、ペースカーに続いて追い越しなしの練習走行です。とは言っても一般公道を走るレベルからすれば十二分にカッ飛ばし状態。事前のミーティングで言われた、「コースを覚えましょう」とか「誘導員のいるポストの位置を確認しましょう」なんて注意はどっか行っちゃって、頭の中は真っ白け。とにかく前車に着いていくことでいっぱいいっぱいです。
コースなんか覚える余裕もなく、あっという間に2周目へ。とたんに全開、全開、また全開。レースじゃないのに何かに追われるように飛ばしてしまいます(競馬の馬もこんな心境か)。とにかくコース幅が広い(10〜12m)のでライン取りがよくわかりませんが、そのおかげでブレーキが遅れたり、オーバースピード気味でコーナーに突っ込んだときにマージン領域があって助かります。あのペースで公道は絶対走れませんね(走ろうとも思いませんが)。 さて、我がTSと一緒に走っているのは、お友達のstradaleさんのV6はじめ、ルノー2台、ロドスタ1台、マーチ1台ときて、あとの20台くらいは国産ターボ280馬力軍団かホンダの何とかR。相手にとって不足なしっちゅうのはウソで、パワーでは相手にしてもらえません。ハッキリいって我がTSは、直線で「走るシケイン」化してました。まるでボブ・サップと魔娑斗がプライドのルールで戦うようなもの。貴様ら卑怯だぞ、正々堂々と勝負せい!!(←だからレースじゃないっちゅうの) うーん、あと100馬力欲しいな、っていうかもてぎのあのコースだと何百馬力あってもありすぎってことはないですね。
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スタート5分前 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
結局1回目の走行は、頭真っ白なままで終了。ちょっと危ないシーンもありましたが、とにかく無事パドックに帰って来られただけで感動。ヘルメットを脱ぐと真冬なのに汗ダラダラ。これじゃ、真夏に走るのは無理だ。私は遠慮しときます。
クルマを降りてタイヤを見ますと、ブロックのエッジがダマになって消しゴム状態。アスファルトの質が違う所為もありますが、公道ではこんなになるまで酷使できませんね。 パドックで配布されるタイム表を見ますと、私のベストラップは2分47秒台。同時に走ったクラスの中で下から3分の1くらいのポジション。速いのか遅いのか分かりませんが、マーチには負けなくてホっとしました。 さて昼食後、2回目の走行になると、相変わらず恐怖感はあるものの、コースを覚えてきたことで、ライン取りを考えながら、幾らか楽しんで走れるようになってきました。でも、油断は禁物。ある方(?)が飛び込まれたことでも有名な複合の3、4コーナーにはダイブ車続出。私もここでは4、5回ヒヤッとしました。似たような複合コーナーの中でここだけ入口側のRがキツイためだと思います。Sennaパパさんがおっしゃるとおり、もてぎのロードコースでは鬼門ですね、ここは。(先のNSXがいっちゃったのもココ)
ブレーキですが、事前に聞いていたとおりやはりキツイです。コーナーの度にフルブレーキングを繰り返していると、2周と持たずにブレーキが音を上げます。ウチのはフロントにロッキードZC(〜850度)を入れているので、パッドフェードこそ起こさないのですが、フルードが沸騰してしまいペダルがフワフワになってしまいました。教習所で習う、「ベーパー・ロック現象」ですね。よくブレーキフィールを表現して「真綿で締める」なんて言い方をしますが、これでは「羽毛布団を踏んづけてる」ような感触です。 それにしてもサーキットのアスファルトのミューは高いですね。公道と同じ強さで踏んだのでは、ABSが全然作動しません。コーナーでの横G&ロールも今まで経験したことのない強さ。聞いた話ですが、サーキット路面の摩擦係数は、ウェットの状態で公道のドライと同じくらいらしいです。さて今度のタイムは、4秒ほどアップして43秒台を記録。走り云々よりはライン取りが少しわかってきたことが大きいと思います。 |
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帰宅してからよく見たら、ほぼ全周にわたって、このようにブロックの一部が引きちぎれてました。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
続いて3回目ですが、前の走行でフルードに気泡入っちゃったので、ブレーキ勝負はできません。そこで、それまでは4速からアプローチするコーナーは、ドンと踏んでから一気に2速に落として進入していたのですが、ブレーキの負担を軽くするため、早い時期からブレーキングを開始し、ヒールアンドトゥで4→3→2と落としていき、極力エンブレを併用するようにしました。当然、コーナーへのアプローチタイムは落ちますが、ゆっくりと減速する分、オーバー気味に入る回数が減り、精神的にも楽にドライブできました。
何周目かで、2コーナーを抜けたとたん、前を走っていたs○r○da○eさんが、3コーナー先のグラベルで土ぼこりを上げながらダートラをやっているではありませんか! 「あっ、楽しそう! 俺もやりたい」と思ったのはウソですが、一瞬どうしようかと迷いました。クルマ降りて押すの手伝おうかな、とか考えたのですが、コース上にハザード点けて停車するわけにはいきませんし、ダートに入って停めたら自力脱出不可能だし。で、結局見て見ないふりして行っちゃいました。ごめんね、stradaleさん。
パドックに戻ると、幸いstradaleさんは人車ともに無キズ。いやあ良かった良かった。それにしても3、4コーナー恐るべし。私がここに突っ込まずに済んだのは、単に運が良かったからに過ぎません。2回ほど、「やっちゃったー」と思いましたからね。タイムは2秒落ちて45秒台。ほとんど流して走ったのでこんなものでしょう。 |
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S字です | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
これもS字です、かなりロールしてますね | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
裏のダウンヒルストレートです。TSは170km/hがやっとです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
チェッカー! | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
100kmほど一般道を走った後です。中央付近に見えるのがカーボンです。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
自分もサーキット走ってみようかな?
と少しでも思った方はこちらへどうぞ。
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