機構から言ってもATではなくクラッチレスMTであり、クルマの操作感や反応もMTである。トルコンによる動力伝送の時間差は感じられず、ツインスパークエンジンの特性も相まって踏めば即座に加速し、離せば即座に回転が落ちる。
シフトダウンはECUが回転数の理論値そのままに合わせてくれて、さながらゲーム感覚でシフトアップ・ダウンが出来る極めてすばらしい機構である。
ただ、良い面が目立つのと共に悪い面も目立つ。
最初に気が付くのは、安定して走らせるのに意外と手間取ることだ。
漠然とシフトアップをすると変速時に車体が揺れる。ATから考えれば下品な変速ショックに感じるが、MT機構のSeleSpeedなのだから原因は単純に運転手がヘタなのだ。
ガクガク言わせながら走らせているSelespeedオーナーは、今一度自分の運転について考えて欲しい。
Selespeedは、MTと同様にシフトアップの直前にアクセルをわずかにゆるめてあげるとスムーズにギアが抜ける。また、TSエンジンの可変インテーク機構の特性で、3000rpmを境に吸入経路が変わる。そのため、3000rpmをまたぐシフトチェンジを行うとどうしても変速ショックが発生しやすい。よって、穏やかに走るならば必ず3000rpm以下でシフトアップすべきだ。
また、シフトダウン時にはきちんと減速して、むやみに回転数が上昇しないように調整しないといけない。その場では良いが、急激な回転数の変化は後々エンジン補器類に悪影響をもたらす。現在ではV6よりTSエンジンの方がタイミングベルト切れ・コマ跳び不良が多いことを肝に銘じておこう。
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