実例を挙げて具体的に考察してみよう。
例として、走行中に異音が生じていることに気がつき、これを修理してもらう場合を考える。
まず、使用者が「異音」と感じた音はなにか、これを確定しなければならない。どんな音か、どのあたりから生じているか、いつどんな状況で発生するのか、等々。
全てに対して完璧な情報を用意する必要はないが、これらの情報は多ければ多いほどよい。
この情報が足りないとどうなるか。
作業者が認識した「異音」と、使用者が認識した「異音」が異なる、という事態が生じる。結果、直してほしいところが直っていない、ということになるのだ。
つまりこの段階で求められることは、修理する側と依頼する側、両者の認識のズレを埋めて一致させることである。
また、この作業は使用者が積極的に説明する側に立たないといけない。
長年使用してきた持ち主でしか認識できない事象は、その持ち主でなければ説明しようがない。「今まではこうだったが、今こうなっている」といった説明は、修理の際非常に役に立つのだ。
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