断念
このいじくりネタは、障害を克服できず作業途中で断念しました。製作中に掲示板に告知していたため、読者の方から「アレはその後どうなったの?」という問い合わせがありましたので失敗に至った経過について簡単に紹介してみます。
水冷ブレーキシステムといっても、最近のレースで使われている、キャリパー内部をクーラントが通る超高価なものとはもちろんベツモノです。
 
ウチの156は私の乗り方が悪いせいか、峠でもサーキットでもヴェーパーロック(ブレーキフルードの沸騰)起こしまくりで、これを少しでも改善しようと、主としてブレーキキャリパーに水をぶっかけて冷却してやろうと思ったのです。
 
自作ノズルをフェンダーインナーカバーに開けた穴から通し、ブレーキキャリパー辺りに向けて取り付けました。
(ゴメンンサイ、写真間違って全部消去してしまいました。)
システムの概略について説明します。噴射水の水源はご覧のウォッシャータンクです。ユーノス号は、ちょうどヘッドライトウォッシャーを作動停止(DIYはこちら)にしているため、モーターポンプ1個が休止中。ここにホースをつないで途中で分岐させ、左右のブレーキキャリパー近くまで持っていけば配管作業はおしまい。
配線は、モーターポンプから新たに室内までコードを通し、ご覧のように灰皿内部にトグルスイッチを設置。
カチャッと灰皿を開けると出てくるスイッチ。何だかボンドカーの秘密装備みたくてカッコイイー、と思うのは私だけだろうか‥‥。
噴射中の確認はステアリングボス上に設置したLEDランプで。
サーキットではコーナーの立ち上がりあたりからオン、次のコーナー手前でブレーキングを開始する直前にオフにする予定でした。噴射水が気化熱で奪う熱量は大したものではないとの指摘も受けましたが、ノーマル状態より冷えることは間違いありません。
さらにはオプションとして、タンクに大量の氷を入れることで噴射水温を0℃近くにすることが可能ですし、不凍液+ドライアイスでは氷点下にさえすることも理論上はできるのです。(←あくまで机上の空論です。氷点下の不凍液を片面だけに浴びたキャリパーやローターがどのような状態になるか想像もつきません。)
さらにリアブレーキ用にヤフオクで145の横型とインテグラの縦型のウォッシャータンクを購入。ぴたりとはまる方を設置する予定でした。
 
と準備は万端のつもりだったのですが、配管が終わった段階で問題発生。スイッチオフの状態でもノズルから水がダダ漏れ。モーターポンプ内部に弁機構がないため、ノズル位置がウォッシャータンク内の水面より低いとサイホンの原理で水が流れ出てしまうのです。
それならとノズルの取付位置をフェンダー内の一番上付近にまで移動したのですが、停車中には水漏れしないものの、走り出すと走行風による吸い出しのためか、10キロほども走ると満タンにしたタンクの水が空っぽに。しかもノズルとブレーキキャリパーの間隔が広がるため、走行時に噴射水が正確に当たるか疑問。走行風に流されてタイヤの接地面に当たってしまえばタイヤが滑りやすくなって危険でもあります。
 
ヘッドライトウォッシャーのノズルはタンクの水面より明らかに低いのですが不思議と漏れません。中に何らかの弁のようなものがあるかと思い、外したとき(軽量化プロジェクト参照)に見てみましたが分解不可能のため結局わからずじまい。
 
というわけで、本システムは一度も実戦に投入されないまま開発中止となってしまったわけです。手元に残ったのは145とインテグラ用のウォッシャータンクが二つ。どなたか要りませんか? 無料で差し上げますけど。
画像は145用のもの。ヤフオクで約3Kでした。
ブレーキ温度計 and 自動作動システム
仮に水冷ブレーキが完成したとして、作動タイミングが問題になります。温度が上がっていない状態で大量に噴射すれば、液体のままの水がローターとパッドとの間に入って滑ってしまいますし、反対にフルードが沸騰してから冷やしても手遅れです。
そこで、システム本体が完成もしなかったにもかかわらず、こんなサブシステムなんか夢想してました。
 
1つは「ブレーキ温度計」です。もちろんそんなものはないので新たに作るか流用するしかありません。ですが走り屋がよく後付する油温計なんてのはせいぜい200℃までしか目盛りがないのでバツ。サーキットでのブレーキ周りの温度はときに800℃以上いきますからね。そこで見つけたのが左の「排気温度計」目盛りは1100℃まであります。これがセットできれば、スイッチのオンとオフのタイミングが一目でわかります。
 
2つは「自動噴射システム」です。筑波1000のようなショートコースサーキットを走ったことのある方はおわかりになると思いますが、直線部分の少ないコースではシフト操作が忙しくて、トグルスイッチ1つ操作するのも困難です。そこで上の温度計と連動させて一定温度で自動的にオンオフするようにすればもう言うことありません。(多分)
 
ところが感知部が問題なんです。左図のように、一定の長さの感知部を感知域に突っ込まなくてはならないのです。マフラーなら可能ですが、ブレーキキャリパーやパッド台に穴を穿つわけにはいきません。といって感知部を針金か何かでくくりつけても大半は大気と接触してしまって正しい温度は計れないでしょう。というわけで本体同様、机上の空論で終わってしまったのですが、「ブレーキ温度計」という発想は、市販スポーツ車にとってアリだとは思いませんか?
 
※上のメーター画像、センサー図面とも、日本精機株式会社が販売している商品のものです。