04/08/29
使用工具 フロントバンパー脱着工具(フロントバンパーの中はおもちゃ箱のページ参照、テスター、                  電工ペンチ・圧着端子・絶縁テープ等)
いじくり時間 1日半前後
いじくり費用 総額4万円以下でも可
難易度 AA
ブレーキとともに156の弱点として必ず挙げられるのがヘッドライトの暗さだと思います。ライトが点いているかどうかわからず、走行中にレバーを捻って確かめたことがありませんか?
ユーノス号は購入直後に、ロー側をPIAAの4100K「HIDもどき」バルブに交換し、いくらか「明るい感じ」にはなりました。ただし、K(ケルビン)というのは色温度を表す単位であって、光量を表すルクスとは異なります。従って高ケルビン化イコール明るさアップになるとは限らず、実際バルブ交換後も国産車に比べてかなり暗く感じていました。
 
さて、前置きはこのくらいにして、格安HIDシステムが販売されていることを相互リンクしているokaponさんのHPで教えてもらいました。販売しているのは88HOUSE(ハチハチハウス)という埼玉県内の業者さん。156のローに適合するH7バルブの場合、一番安い4500Kのキットだと、なんと3万4800円!! これってバーナー(バルブ)だけの値段ではありません。バラストという昇圧器も含んだ、これだけで全部OKのキットの値段です。後付用としては大手のベロフジャパンの製品と比べると実に3分の1の価格です。(04年8月現在)
無名ブランドということで正直不安はありましたが、okaponさんが装着して特にトラブルがないこと、WEBであちこち検索しても悪い評価を目にしないこと、メールでの問い合わせに対して丁寧に答えてくれる等から購入に踏み切りました。
 
さて、DIYについてですが、難易度をAAにしたとおり、バンパーの脱着と、数か所に面倒な加工が必要な上、さらに高電圧配線を取り回すことでの危険性もあり、お勧めできません。以下の記載を読んで、「なんだ、簡単じゃん」と思った腕(知識)自慢の方以外は、電装屋さん等、専門業者に依頼されるようお願いします。
 
具体的な問題点は、
1 車体側ヒューズを10Aから15Aに交換する必要がある。
2 シェードという反射傘が短いため、加工するか切除しないとバーナーが付けられない。
3 バルブの裏蓋が二重構造になっているため穴開けが困難。
の3点があります。
私のやった作業はあくまでも自己流ですから、参考にして作業される方は申し訳ありませんが自己責任でお願いします。
テストで発光させたときのショット。真夏の晴天日にこれだけ白く写るとは驚きです。
送られてきたキット内容です。基本的にはバーナーという発光管(バルブ)と、これに昇圧した電流を送り込むバラストという部品からなります。バラストは左右で1個ずつとなります。
 
okaponさんは装着をショップに依頼したのですが、2日後に片目が点かなくなったそうです。原因は車体側のヒューズ切れ。装着したショップに持ち込んだところ、ヒューズを10Aから15Aに交換してもらい解決したそうです。
ですが、クルマの配線やスイッチ類をそのままで、ヒューズのアンペア数だけを上げることは本来やってはいけないことです。設計以上の電流が回路を流れることで発熱し、最悪の場合出火する可能性があります。
そこでこの点を購入前にハチハチハウスにメールで問い合わせたところ、「10A→15Aなら十分に許容範囲内で問題ありません」という回答でした。またほぼ一定の電流を流し続けるハロゲンバルブとは異なり、バラストが10Aを超える電流を必要とするのは瞬間的(おそらくは点灯時)らしいこともあり、私も15Aヒューズに交換することにしました。
ヒューズボックスの位置はこちら。運転席に座ったときに右の膝小僧が当たる辺りです。初期型ではここの内装が面白いように落ちたそうですが、中期以降のモデルはすっかり対策されてます。
10Aヒューズは複数ありますので、よく確認してください。
手先が器用で内部の構造がわかっている方なら、ヘッドライトユニットを外さなくても装着は可能かもしれません。しかし、裏蓋を外しても内部がほとんど見えないため、初めての方だとノーマルバルブを取り外すだけで手が血だらけになるかもしれません。後述する困難なシェードの脱着もありますから、ライトユニットは外して作業することを強力にお勧めします。なお、ライトユニットはフロントバンパーを外さないとボルトにアクセスできません。フロントバンパーを外すにはジャッキアップしてフロントタイヤを外して、ホイールインナーカバーを外して、アンダーガードを外して、とサンデーメカニックにとっては一大作業になります。連休等、時間がたっぷりあるときに作業されると良いかと思いますよ。
車体に装着したままやろうとするとユニットやシェードを壊すおそれがあります。急がば回れですな。
さて、物好きな(?)あなたが無事ライトユニットを取り外したとして、次に問題となるのがシェードです。この作業が一番の山場となるかと思います。
ご覧のようにバーナーはハロゲンバルブより6〜7ミリ程度長いため、先端部がシェードに当たってしまいそのままでは取り付けできないのです。
これまたリンクしているかしきやさん(アルファディーラーのメカニックさん)のHPによりますと、いさぎよくシェードをカットして外してしまうことが多いようですが、かしきやさんはご自分の156に装着した際は、配線用のギボシ端子を使ってシェードの足を延長したそうです。頭いい!

 
作業するには、まず、シェードを外さなくてはなりません。シェードはリフレクタ本体の口金部分の上下にクリップとツメでガッチリはまっていますので、クリップを少しずつ拡げて取り外します。最初私はライトユニットを外さずにチャレンジし、がむしゃらにラジオペンチで引っこ抜いたのですが、そのせいでリフレクタの一部を破損させてしまいました(汗 取り付けにはもっと苦労しますので、重ね重ねライトユニットは外してから作業しましょう。
シェードです。裏蓋方向から覗いている向きになります。
手前側の口金にはまるクリップ部分は、バーナー(バルブ)を固定する台座も兼ねていますので、このパーツがないとバーナーの取付ができません。私のようにラジペンでこじるなど、論外です。大切に扱いましょう。
 
それにしても、このシェードの材質! 外から見てもわかりますが、昔のおもちゃに使うブリキみたいで、全然光沢ありません。この辺にも暗さの一旦があるかも? 国産車のほとんどはキラキラ光るメッキシェードが使われています。これをどっかの町工場に持ち込んでメッキしてもらうだけ明るさはグンとアップするかもしれません
シェードは取り外すか、加工するかで悩みましたが、仮配線でバーナーを点灯してみたところ、先端部に黒色塗装がしてあるH7ハロゲンバルブと異なり、先端方向にも光が照射されることを確認。これでは光が拡散してしまって対向車の迷惑になるかもしれません。かしきやさん方式での延長も考えたのですが、足を途中でカットすることに抵抗があり、しばらく考えた末、「そうだ! 傘の部分を叩いて拡げちゃえ!」と馬鹿なことを考えついてしまいました。
用意したのは叩き台になる木片と、ハンマーとヘックスビット。大小のヘックスビットをポンチ代わりにし、ハンマーでガンガン叩いて傘部を板金して延ばしていきました。あばただらけになりましたが、約5ミリくらい傘を高く(深く)して片側は何とか完了。1個叩き終わるまで15分くらいかかりました。
次いで反対側に移り、再びガンガン叩いてところ、突然足の部分がコロンともげてしまいました(涙
打突の衝撃が足の一番細い部分にストレスを与えてしまったようです。こんなことなら最初からかしきやさん方式にしておけば良かった、と思っても後の祭り。仕方なく1ミリドリルで両側に穴を空けて針金で縛り付けました(うーん、いつまで持つだろう……)。
画像では上が叩いて延ばしたもの、下がノーマルです。
実は板金やるのは生まれて初めて。メーカーにいたころ聞いた話ですが、昔の技術屋さんは鉄板一枚からやかんを作ったそうです。全然関係ありませんね。
シェードは左右で形が違います。混同しないように注意してください。(確か下が左、汗‥‥)
どうにかこうにかシェードの加工が終わり、次はユニット内配線とバーナーの配線との接続・取り回し作業です。説明書ですと、バルブの裏蓋にホールソーで径17ミリの穴を空け、そこにコードを通してゴムパッキンでシールして終わりと簡単なのですが、156の裏蓋はご覧のとおり、通気口が設けられた立体二重構造になってます。水平面に17径の穴を空けられる場所もありませんし、無理して穴を空けても防水が困難です。
これまた思案した末、通気口をそのままコードの通り道として活用することにし、通気口内の水よけ部品の一部をカットしてそこにコードを通すことにしました。しかし最初から付いている防水タイプの大きなカプラーはどうやっても通気口を通りません。説明書には「コネクタや端子を加工した場合は保証外となります」と明記されてますが、通らないものは仕方ありません。いさぎよくブチッと切ってコードを通し、接続は一般的なエーモン製平型端子を使用しました。
 
なお、結線方法ですが、同じ156でもコードの色や配線の取り回しが異なっている可能性があるため、私のやった手順をここでは紹介しません。説明書を良く読んだ上、ご自分でテスターで測って確実に結線してください。
これに17径の穴を開けるのは無理。
水や虫がユニット内に入らないようにするためのパーツ。ちょっと感心。
コードが太いので通すのは楽ではありません。どうせ端子切るならドリルで3カ所穴開けして1本ずつ通しシールするのもいいかもしれませんね。
バラストの設置場所は、156に限らずどの車種でも頭を悩ますところのようです。最近のクルマはエンジンルームがギチギチで余裕がありませんし、といってバラストは水のかかりにくいところに縦に設置すべしとありますので、スペースさえあればどこでもいいとはいきません。もちろんエンジンやマフラーの直近では熱の問題があって論外です。
あちこち探した結果(一時は室内に引き込もうかとまで考えた)、左右フェンダー内のフェンダーを固定しているメンバーの上にスペースがあるのを発見。向きがやや横向きになるのと、雨天走行ではフェンダーとヘッドライト脇の隙間から入ってくる雨水がいくらかかかることがネックといえばネックですが、許容範囲内と判断しここに決定しました。フロントオーバーハングで荷重的な問題はありますが、数百gしかありませんので、良しとしましょう。
取り付けは、右フェンダー側は、上部一カ所を自在ステーを使って冷却水のリザーバタンクの取付ネジに共締め。本体部は、裏面のメンバーと当たる部分に薄いゴム板を貼った上、メンバーにタイラップ2本で縛り付けて固定しました。
左側も基本的には同じなのですが、セレの場合フェンダー内にセレオイルのタンクがあると思いますので、もしかしたら取り回しに苦労するかもしれません。
右フェンダー側です。冷却水のリザーバタンクを一旦外す必要がありますが、クーラントホースはそのままでも大丈夫です。
左フェンダー側です。ユーノス号はツインインテークシステム(笑)のため外してますが、本来はここにカバーがあります。
できるだけ修正を加えていないデジカメ画像です。白くて明るいのがわかります?