右前輪が重い!
TS右ハンドル車の前輪左右バランス不均等について
バッテリー移設初めてのサーキットのページの中で、156の前輪が左右で荷重不均等ではないかと書きましたが、このときは具体的な数値はわからず、体感から予想意見として述べたものでした。
残念ながら、私の推論は当たっていたようです。Tipoでお馴染みのネコ・パブリッシング社発行(Feb/2003)の「ALFA&ROMEO4」(以下AR4)誌72P、カーツ社車高調装着レポートの記事の中で、4輪ごとの車高と荷重のデータが記載されていたことから判明したのです。なお、データ取りに使われた156は、一般ユーザーが使用中の車両であり、へたり等から多少の個体差が生じているかもしれません。
 
掲載されていたデータ
ノーマルサス
車高
右前輪667ミリ
左前輪678ミリ
右後輪670ミリ
左後輪665ミリ
 
車高調サス交換後
車高
右前輪651ミリ
左前輪654ミリ
右後輪651ミリ
左後輪651ミリ
荷重
右前輪430,5kg
左前輪401,0kg
右後輪235,0kg
左後輪235,0kg
 
車高調によって、15ミリ程度全体的にローダウンした上で、約11ミリ下がっていた右前輪を左側と同じ高さに調整したわけですね。ちなみに、この右前下がり11ミリという数値は、ウチの156とほぼ同じ数字です。車高調取付後の前輪荷重は、右前輪が左と比べて約30kg重くなっています。ノーマル時の荷重データは記載されていないためわかりませんが、右が下がった状態であればこれより幾分重かったものと思われます。
たったの30kgくらい大した影響ないだろう、と思われる方がいるかもしれません。ですが走行時には、ここにドライバーの体重の一部が加わることになります。知識がないので適当な計算ですが、左右前輪にかかるドライバーの体重を算出してみました(1名乗車時)。誤差や多少の計算違いはあるでしょうが、それほど大きな数値ではないと思います。ドライバーの体重は、私の体重である70kg(ホントはもうちょびっと重い)であるとします。(以後やや退屈な計算のお話になりますので、いきなり結論にいきたい方は、青色フォント部分を読み飛ばしてください。)
 
まず前軸にかかる体重の値を求めます。運転席シートのスライド位置を中央付近にセットして、座面の中央と前輪中央との間隔を測ってみたところ、約1150ミリありました。ホイールベースは2595ミリですので、100分率の前後比は約44:56になり、シートは約44%前寄りの位置にあることがわかりました。つまり70kgの56%である、39,2kgが前軸にかかることになりますね(ここまで合ってる?)。
次に前輪左右ごとにかかる体重値を求めます。本当は前輪トレッドに対する位置関係を計測しなくてはなりませんが、ちょっと無理なので、室内幅で代用しました。シート中央と右ドア内張までが370ミリ、左右ドア内張間が1470ミリでしたので、左右比は約75:25になり、先ほど求めた39,2kgの75%である29,4kgが右前輪に、残り9,8kgが左前輪にかかることになります。(算出方法に間違いがありましたらご指摘ください。)
 
よって右前輪にかかる私の体重は、プラス19,6kg左前輪より多いことになり、先の誌面データ30kgと合わせると、49,6kgの荷重が右前輪に余計にかかっていることになります。イメージとしては、大人の女性1人が右フェンダー上に座っていることになりますね。さらに、ドライバーが乗車すれば、車体はいっそう右側に傾斜するでしょうから、荷重差はもう少し広がると思います。
逆に左ハンドル車を考えれば、ドライバーが乗った状態では荷重・車高ともほぼ左右均等になるわけであり、やはり左右バランスについては左ハンドル車を想定して設計されており、右ハンドル車のことはほとんど考慮されていないと考えられます。(アルファに限った話ではないでしょうが)
これだけ荷重差があるのですから、サーキットや峠での左コーナーからの脱出時、左前輪がやけに空転して全然アクセル踏めなかったのも道理です。まして、15,5kgものバッテリーを左側から取り去れば荷重差は60kg以上にもなり、ハンドリングが悪化したのも当然でした(読んでない方はぜひバッテリー移設のページをお読みください)。
なにか改善策はあるでしょうか? エンジンを左寄りに移動できればベストですが、おそらくはもう1台156が買えるくらい費用がかかるのでは? 重さ50kgのバラストを左フェンダー内に載せても左右バランスは均等になりますが、言うまでもなくフロント荷重大になって性能が低下しますね。
実際問題、根本的な解決は不可能でしょう。ただし、AR4に掲載されていたような車高調によって、右前輪の車高を1〜2cm相対的に上げて、ドライバー乗車時で右前が上がり気味になるよう調整すれば、いくらかなりとバランスの悪さを改善できるかもしれません。でも車高調は高額ですね。カーツ社のはリーズナブルだそうですが、それでも約15万円します。消費税と工賃を入れれば軽く20万円を超えるでしょう。
なお、いくら左右バランスが悪いとは言っても、公道を普通+αくらいのペースで走る分にはそれほどの支障はないと思います。サーキット等、スポーツ走行しない方はあまり気にする必要はないですよ。
156のカタログや取説には、シート位置の透視図が記載されてません。なので私の前車ユーノス500のカタログ図面を代用します。
1470ミリ
370ミリ
44:56
+49,6kg
75:25
今号は面白くてためになりました。