その直後、日本人の精神面を劇的に変える「事件」が起きた。ほぼチャンスが無いように見えたゴール前への放り込みに対し、鈴木がぎりぎり触って、ゴール。
さすがに、冷めた目で見ていた私もびっくりした。意気消沈していた「今まで」の観客も同様に驚喜・歓喜・驚愕の渦に。
このゴールは本当に大きな意味を持つゴールだったと思う。決め方はどうであれ、失点直後の、志気が明らかに落ちた直後のゴール。これで勢いづかない訳がない。
さらにその後、稲本の遠目からのシュートで2点目。
「稲本〜〜〜〜!!!!決めてくれ〜〜〜〜!!!!」
倉敷氏が壊れた。
2点が入った時点で、もう日本という国そのものがはっきりと変化していた。
戦える。勝てる。やるじゃないか、日本。
日本代表に対して、誇りを持つ。誇りさえあれば、弱かろうが負けようが不甲斐なかろうが前向きに応援できる。大事な大事な本質の部分がこの時ようやく生まれたんじゃないだろうか。
その後森岡の負傷交代もあり、同点にされ、そのまま試合は終了したが、この試合結果そのものには大きな意味は無い。
試合結果以上に、大きなものが得られた試合だったのではないだろうか。同じ引き分けでも、0-0で終了したのでは全く違う結果になっていただろう。
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