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2002 WorldCup 観戦2試合目 (6/5)
6/5、水曜日。
ドイツ×アイルランド。
鹿島、20:30キックオフ。

この試合を楽しみにしていた理由は、両者とも積極的に攻め合うことを予想していたからである。
ドイツはこれまでの歴史の積み重ねと数々の有能な選手によって、アイルランドはご存じロイ・キーンの闘志によって。

しかし、困ったことに試合前の段階で両方とも失われていた。ドイツは前の試合で大勝していたが、少々魅力に欠けたチームであることは言うまでもなかった。開幕直前にけが人が相次ぎ、中盤から後方にかけて選手が足りない。
アイルランドは、合宿中のロイ・キーンの喧嘩による不参加のため、どうにも小粒感が漂っている。

そんな不安をよそに、午後休を取って一路鹿島へ。
夕飯用に映画「うなぎ」の舞台となった佐原でうなぎ弁当を購入。夜の仕込み中のうなぎで作ってもらいました、山田屋さんありがとうございました。

その後、駐車場となるアントラーズクラブハウス周辺へ。クルマ(壱代目156)を停めてバス発着場へ。ここから競技場までバスで約15分。

発着場到着。
それだけで、もう感動した。なんだこのバスの数は。茨城中の路線バスを集めたかと思うほどの連絡バス。しかもめちゃめちゃ手際がいい。県も鹿島市も、ワールドカップを如何に重要と考えているかが伝わってきた。

スタジアムには開門直後の時点で到着。

列がほぐれたところで入場。やっぱり手際がいい、人の列が自然とまとまってスムーズに流れるように柵が並べられている。

入り口は大量に設置されていて、担当ボランティアも妙に多い。入場してからもあちこちに立っている。もしや鹿島市民ほとんど総出じゃないのか、これ。

入場する前から気がついていたが、アイルランドサポーターの数が凄い。
対して、ドイツ人はどこだ〜?って感じ。初日のニュースで「新潟に向かうアイルランドサポーターで東京駅が溢れた」というのは間違っていなかったようだ。
しかも、みんな妙に軽装。アイルランドユニ(たまにCelticもいる)に短パン、サンダルが基本。あんたらどこから来てるんじゃい。鹿島市民でももっときちんと着てきてるぞ。

席に座る。もう、アイルランドサポーターが騒いでいる。ひたすら歌う、歌う、歌う。ヲイヲイ、まだ2時間以上あるぞ〜。
我々は、とりあえずうなぎ弁当を食べる。とても美味い。すごく美味い。ご飯がいっぱいに詰っているが、美味いので全部食べる。すごく満足。
気が付くと、地元の少年達が一列後ろで「腹減った〜」を連呼している。ゴメン、少年。臭いじゃ腹はふくれないな。

地元少年のハーフコートを見つつ、ぼーっと試合が始まるのを待つ。ゴールに歓声をあげるアイルランド側、今ひとつ盛り上がらないドイツ側。

練習が始まる。目の前でヤンカーが走り、カーンがボールを蹴っている。非現実の世界。しかし、これは現実だ。

その脇で、審判団がアップしている。ニールセン主審。公称198cm、やっぱりでかい。

スタンドは異様に盛り上がっていく。こんな盛り上がりはトヨタカップでも感じたことはない。すごい。

気が付くと、メインスタンドに青×黄色のどこかで見たような選手の一段が。どう見てもスウェーデン色。

そして、入場。アイルランド人、凄い。観客の力だけでこんなに盛り上がるとは。イングランド戦も十分にカルチャーショックだったが、こちらの方が断然凄い。

試合始まる。事故の様なクローゼのヘディングの後、煮え切らない動きのドイツ。とにかく愚直に攻めるアイルランド。

このころから、根底に流れる雰囲気が全然違うことに気が付く。
アイルランドは、「自分たちのスタイル」を崩さない。そして、ことごとく守り返される。サポーターはそれに対して、全く落胆しない。ひたすら我がチームを後押しし、励まし、力を与え続ける。
サポーターは選手たちを完全に信頼し、次こそは我がチームが点を取ることを信じて疑わない。両者共に、全く愚直。しかし、思いは非常に深い。

後半を迎える。
同じ展開が続く。しかし、選手は決して諦めない。サポーターは決して落胆しない。国内の試合ではよく見られる、「あ〜あ」の声の後の不満が全く見られない。一瞬だけ残念がるが、すぐさま応援に切り替える。凄い。

アイルランドは、決して強豪国ではない。対して、ドイツは歴史ある強者。
負ける可能性の方が高いのに、勝利を信じて疑わない。これは試合終了直前まで続く。

ご存じのように、この試合はロスタイムにアイルランドが1点を返して終了する。

1−1、引き分け。
6/2の試合と結果は同じ。しかし、私が得られたもの、感じたものには相当の差がある。

歴史の積み重ねで生まれた色々なもの。
自分たちのサッカースタイル。
どんなに困難な状況でも諦めないこと。
完全に選手を信頼するサポーター。
年期の入った応援歌。
国を愛すること、チームを愛すること、選手を愛すること。

歴史が違う。年期が違う。日本は何年経ったら、この境地にたどり着くのか。

勝つための試合をするのも良いだろう。しかし、「これぞ日本のサッカー」というものを貫き通すのも良いのではないか、と思った。
日本の歴史と文化から、日本人は対戦相手を心の底から憎むことがない。当然勝ち負けにはこだわるが、相手を騙したり怪我をさせてまで勝とうとは思わないだろう。

世界的に見て、この傾向はサッカーに関してはデメリットとなってしまうが、広い世界こんなスタイルの国もあっていいのではないか。
試合をする以上、勝つことは最も優先すべきことである。しかし、それ以上に大事にするものがあってもいいんじゃないのか、と考えさせられる試合だった。サッカー感に大きく影響させられる試合だった。

スタジアムを後にするとき、何故この競技場が快適だったのか思い知らされた。大量のボランティアの方々。それこそ、鹿島市の大半がここに集結してるんじゃないかと思うくらい。ボランティアが並ぶだけで、誘導の列になっている。柵など全くいらない。感動。

帰りのバスもすごい。乗り場に向かうと、既に異常な台数が待機している。そして大量の観戦客を、待ち時間ほぼゼロで乗車させて出発する。凄い。本当に凄い。

帰途、とうに23時を過ぎている東関道でアイルランド国旗だらけのバスを何台も何台も追い抜いた。
数十台は抜いたんじゃないだろうか。

本国からだけでなく、世界各地からの移民の方もたくさん含まれるのだろうが、これだけ応援に駆けつける国も珍しいな、と思いながら深夜の高速道路をひた走り、実家(横浜青葉)を経由して帰宅した。
もはや深夜2:30である。眠い。明日はちゃんと起きられるのだろうか。

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